きっと

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彼が鼻歌まじりに歩いていると、 彼女はひどく暗い顔をしながら歩いていた。 二人はすれ違った。 彼はそんな彼女に話しかけた。 「ねぇねえ、雨が降りそうだと思わない?」 彼女はそんな気分じゃなかった。 「知るかバカ男。お前みたいなペラペラした男が一番、わたしは嫌いなんだよ。」 彼は不思議そうな顔をした。 「人間なんてみんなペラペラだよ?」 彼女はその言葉を聞いて、3秒ほど硬直した。 「そうかもね。でもゴメン。明るい気持ちになれないよ今は」 彼は空を指さした。 「じゃあ、アレ見て。アレ」 空には何もなかった。 だが、よく見るとひとつ輝く大きな星があった。 彼女がは?という顔で彼を見た。 「きっと、あのお星さま。今は死んでるんだぜ。でもさこうして今もずーーっと僕に見えてるんだ。一人ぼっちだけど、よく輝いてる。」 彼女はふっと一息ついた。
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