566人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
重たい書類をどっさり抱えながら今だ履き慣れないヒールで小走り。
よく、危なっかしいと言われるが本当そうだと思う。
ヒールで踏み外せば書類は紙吹雪の如く見事に宙を舞うだろう。
「三浦、危ねーよ。そんな焦ったら転ぶだろ。」
声のする方に振り返ると、同僚の安西 裕也さんがいた。
「あ…安西さん。」
「なんか他人行儀だな。まあ、お前みたいな男嫌いだったらそういう態度は当たり前か。」
なんとも、厭味ったらしいことをズバズバと言う。
図星は図星なんですけどね。
「し、仕方ないじゃないですか…。こういう人間なんですから。」
口を尖らせて言って、安西さんを少し睨みつける。
けど、安西さんはまだ良い方。
取引先の人なんか目すらも合わせられないのだから。
最初のコメントを投稿しよう!