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賑やかな街の通り。
活き活きしている人達。
生活品や楽器や武器色々な物を売っている商人。
宿などの色々な店。日は傾き始めた《街》だが活気づいている。
「すごいな。これが《街》なんだな。やっぱり城をでて良かった。」クインは呟いた。
ふっと振り返り少女を見てみると凄く疲れているのが見てとれた。
「宿、行こうか。疲れたよね?」と聞くと少女は申し訳なそうに頷いた。
「僕も疲れたし気にしなくていいよ。それじゃあ行こうか。」
すぐ近くに宿があったのでそこに入る。
「らっしゃーい。お二人さんかい?」ゴツい筋肉質の兄さんがいきよいよく聞いてきた。
少しビックリしたがクインは、そうです。と答えた。
「あんちゃんたち夫婦かい?」
「!?……違います。兄妹です。」
「そうかいそうかい。悪いね。でも、あんまり似てないな。」はっはっはっと笑う大男。
「よく言われます。」にこりと笑うクイン。
「じゃあこの紙にフルネームをよろしく。」
(フルネーム!?)
「…フルネームじゃあないとダメなんですか?」
「ダメだ。何か書けない理由があるのかい?」
「…いえ、そんなことないですよ。じゃあ。」
クインは
クイン=カルトと偽りの名前を書いた。
「へぇークインかい。この国の王子様もクインって言うんだよ。」
「!?…そ、そうなんですか…。」
「そういやぁ王子は今家出してるって話だったな。そういやあんた似てるなぁ。」
(!?…バレた。)
「…い、いえ、人違いですよ。妹が疲れているので早く部屋に連れて行っていいですか?」
「おぅ悪い悪い。それじゃあ、203号室だ。」
「わかりました。行こうか。」
頷く少女。
部屋に着く。
入るとそこは二人では広すぎる程の部屋だった。
「すごい広いな。それじゃあとりあえずゆっくりしようか。」
コクりと頷く。
「もしかしてだけど。…《君》あんまり話せない?」
「はい。」か細い声で答えた。その声は綺麗で美しかった。
「そうなんだ…。少しずつ練習したらいいんだよ。」
「ありが…とう。」
「じゃあとりあえず、今日は休もうか。」
頷く少女。
外はもう日が暮れていた。
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