第四幕 名前

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賑やかな街の通り。 活き活きしている人達。 生活品や楽器や武器色々な物を売っている商人。 宿などの色々な店。日は傾き始めた《街》だが活気づいている。 「すごいな。これが《街》なんだな。やっぱり城をでて良かった。」クインは呟いた。 ふっと振り返り少女を見てみると凄く疲れているのが見てとれた。 「宿、行こうか。疲れたよね?」と聞くと少女は申し訳なそうに頷いた。 「僕も疲れたし気にしなくていいよ。それじゃあ行こうか。」 すぐ近くに宿があったのでそこに入る。 「らっしゃーい。お二人さんかい?」ゴツい筋肉質の兄さんがいきよいよく聞いてきた。 少しビックリしたがクインは、そうです。と答えた。 「あんちゃんたち夫婦かい?」 「!?……違います。兄妹です。」 「そうかいそうかい。悪いね。でも、あんまり似てないな。」はっはっはっと笑う大男。 「よく言われます。」にこりと笑うクイン。 「じゃあこの紙にフルネームをよろしく。」 (フルネーム!?) 「…フルネームじゃあないとダメなんですか?」 「ダメだ。何か書けない理由があるのかい?」 「…いえ、そんなことないですよ。じゃあ。」 クインは クイン=カルトと偽りの名前を書いた。 「へぇークインかい。この国の王子様もクインって言うんだよ。」 「!?…そ、そうなんですか…。」 「そういやぁ王子は今家出してるって話だったな。そういやあんた似てるなぁ。」 (!?…バレた。) 「…い、いえ、人違いですよ。妹が疲れているので早く部屋に連れて行っていいですか?」 「おぅ悪い悪い。それじゃあ、203号室だ。」 「わかりました。行こうか。」 頷く少女。 部屋に着く。 入るとそこは二人では広すぎる程の部屋だった。 「すごい広いな。それじゃあとりあえずゆっくりしようか。」 コクりと頷く。 「もしかしてだけど。…《君》あんまり話せない?」 「はい。」か細い声で答えた。その声は綺麗で美しかった。 「そうなんだ…。少しずつ練習したらいいんだよ。」 「ありが…とう。」 「じゃあとりあえず、今日は休もうか。」 頷く少女。 外はもう日が暮れていた。
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