次の職業は勇者

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「さて!やりますか!」 「テンション高いな、流奈」 「いやー、だって…ねぇ?」 「何それ」 「龍とゲームとか久しぶりじゃん、それに、龍といると落ち着くんだよねー」 「ふーん…ワケわかんね」 昔、姉にそんなことを言われたな…と、何と無しに思い出す。 「じゃ、早速」 と、流奈がゲームのスイッチを入れようとしたらチャイムの音が。 「…客か?」 「龍、出てよ」 「何で俺が。母さんが出るだろ」 「母さん、雑煮を食べた後寝ちゃったんだよ」 「あの人は牛か?」 再びチャイムの音が。 「あぁ、ほら。て訳で、龍が行ってきて」 「あいあい」 部屋を出た俺は、素早く階段を降りて玄関に。 扉についた覗き穴で、まず相手を確認。 「…宅配便?」 外には、帽子を深くかぶった黒猫さんの構成員が小包を持って立っていた。 母親がまた変な物でも頼んだのか? そんな事を思いながら鍵を開けて扉を開放する。 「はい、何ようですか?」 「毎度ありがとうございますー、黒猫宅配便です。今日は夏乃芽 龍様にお届け物が」 …いや、俺なにも頼んでないんだが…。 「あの…送り主とかわかります?」 「え?…あぁ、はい…『後藤 明政(ごとう あきまさ)』様からみたいですが」 誰だよ!? 聴いたこともな………あの野郎か!? 思い出したのは、例のアレ。 通称『ごっちゃん』。 畜生、ごっちゃんの野郎………本名もごっちゃんじゃねぇか!ふざけやがって! と、はらわた煮えたぎる程の激情を脳内で炸裂させ、表には一切出さない。 冷静その物で、黒猫構成員に応対する。 「いやー…申し訳無いんですが心当たりが無いんですよね」 「え!?…こ、困ったな…僕、次の宅配先も行かなきゃならないし…受け取って貰えないと困るんですよ」 「いや、こっちも受け取ったら困るかも知れないので」 多分、送り主ごっちゃんだし。 「わかりました…とりあえず、預かっていただけますか?車に戻って本社と連絡取るんで」 「…まぁ、そういう理由でしたら一旦預かりましょう」 暗い雰囲気の構成員が少々可哀想なので、一旦荷物を引き受ける。 とぼとぼと歩いていく構成員を見届け、俺は小包を持って部屋に戻った。
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