次の職業は勇者

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「今日から俺はリア充だー!」 そう、新年を迎えると共に職の終わりを迎えたおめでたい俺。 新年そうそう職無しとか超ウケるんですけど。 …え? それのどこがリア充かって? ふふふ…それはですね。 にやにや笑いが貼り付いた顔で預金通帳を開き、中身を確認。 0が六個…一番上は秘密。 そう! 俺がこの日の為に汗水垂らして稼いだ、努力と忍耐の結晶! 時間はある! 金もある! これを真のリア充としてなんと言うか!!! はーはっはっ! 余を崇めよ愚民ども! はーはっはっはっ! 「…っと、テンション上がりすぎてはしゃぎすぎた…何やってんの、俺」 自分以外は誰もいない部屋、脳内独りお喋りを繰り広げていた俺は、ため息をついて椅子に座る。 中学生の頃から愛用している回転椅子は、ギシリと音を立てて俺を迎え入れた。 やはり、慣れた椅子は良い。 「さて、と…これからどうするか」 こんなご時世に職を失ってしまうと、次の仕事なんて中々見つからないもので…。 なので、一応真面目に考えてみる。 「まぁ、のんびり探すか。何にせよ、リア充満喫したいし」 仕事のお陰で、すっかりやらなくなったゲームだってやりたいし、昼飯代を削って買い漁った図書の数々だって読んでやりたいし…それこそ、やりたいことは無限大。 俺の夢の分だけ可能性が広がる。 考えるだけでウキウキが止まらない。 「くはは、我ながらアホだな、アホ。首切られてここまで嬉しがっているんだからな」 誰に言うわけでもなく呟いて、椅子のまま移動して本棚の前に。 何度か目移りしてみたくらいにして、整頓された本の列から一冊を取り出す。 「『ちょっと待ってよ!お狐様!』シリーズ、こいつは何度も読んでしまうんだよな…うん」 表紙にかかれた狐巫女をぼんやりと眺めてページを開く。 主人公と狐巫女が、ページ狭しと暴れまわる。
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