次の職業は勇者

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「…ふぅ、なんとか振り切ったか」 コンビニの玄関先で、かいてもいない額の汗を拭うフリをして呟く。 「しかし、今回の事でアレの正体が見えてきたな」 何者かは知らないが、どうやらアレは俺を異世界召喚したいらしい。 …ということは、奴は神なのか? 「いや、この推論はまだ早い…落ち着け、俺」 袋の中からお茶を取り出し、蓋を開けて口元に持ってきたところで固まる。 「………待てよ」 例のアレが勤めていたコンビニの商品…飲んで良いのか? 罠じゃないか、コレは? 疑心暗鬼かも知れんが、どうにも嫌な予感がする。 俺は直感に従い、お茶には口をつけずに蓋をして袋に仕舞い…。 「とりゃ!」 勢い付けて纏めてコンビニのゴミ箱に叩き込んだ。 よし、これで一先ず安心だ…605円は損したが、これは勉強代だと思って諦めよう。 少しだけ微笑んでその場を去ろうとすると、後ろの方から舌打ちが聴こえて来た。 「畜生…コイツは手強いな…今のは絶対飲むと思ったのに」 そんな台詞など聴こえないフリをして、俺はコンビニを後にした。 「…しかし、アイツは何だって俺にしつこく付きまとうんだ?」 帰る道すがら、自販機で購入したお茶を傾けながら呟く。 生憎と、あんな変質者を友人に持った覚えもないなら、顔見知りでもない。 第一、変化出来る時点で同種族・人間かどうか疑わしい。 「…うーん、やはり神なのか?しかし…神なら強行手段に出そうなものだが…」 謎は深まるばかりである。 とりあえず、奴は神ということにしておこう…そうだな、折角だからニックネームをつけてやろう…。 そこで神憑り的な電波が降りた。 「ゴッドのオッサン、『ごっちゃん』でいこう」 ごっちゃん、ごっちゃん、うん、語感は良いぞ。 自分の素敵すぎる安直ネーミングセンスにククッ、と喉を鳴らす。 よし、ごっちゃん…次会ったらブチのめしてやる、二度と俺に関われないくらいにメンタルをブチ折ってやるぜ! はーはっはっ! 何故か、俺は意味もなく息を撒いて家路を歩く。 さて、帰ったらゲームでもやるか。 RPG、シューティング、音ゲー…etc.やりたいものは山程有るんだ。
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