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家に帰ると、タイミングよく居間から出てきた流奈と鉢合わせた。
「うわ」
「うわって何よ、失礼な。龍、どこ行ってたの?」
「んー…散歩」
「ふーん、てゆかさ…暇だからゲームやらない?」
突然の誘い。
しかし、俺としては一人でゲームに勤しみたかったが…。
まぁ、たまのことだし…いいか。
「まぁ、良いけど」
「じゃあ決まりー、飲み物とお菓子持ってくるから先に部屋でセッティングよろしくー!」
爽やかに笑い居間に戻る流奈を見届け、俺はため息混じりに洗面所へ。
マメに手洗い、うがいはするように心掛けているので。
綺麗に隅々まで手を洗い、うがいもきっちり済ませて部屋に戻ると、流奈がクッションの上に座って待っていた。
「遅い。手洗いうがいにどんだけ時間かけてるのよ」
「俺からすれば、皆が短すぎる。ちゃんとやれば俺くらいの時間がかかるはずだ!」
「はいはい、わかったから。ちゃっちゃとゲームの準備してよ」
そう言って、ポテトチップスをパリパリと食べる。
「…てゆうか、先に来たなら流奈が準備すりゃ良かっただろ」
「えー?なにー?よく聴こえなーい」
「…この女郎」
「だって龍、勝手に部屋弄ると怒るじゃん。一応気を遣ったつもりなんだけど」
痛いところを突かれて、俺は何も言えずにため息で返して準備を始める。
「流奈ー、何やりたいんだ?」
「何でもいいよ、強いて言えば格ゲー」
「…格ゲーは嫌だ、お前に勝てる気がしない」
流奈は、イケメン彼氏の影響で格ゲーをやり始めたのだが…コイツは何事にも全力で真面目に取り組み、かつ負けず嫌いなので、彼氏が格ゲー上手いのも相まって…今じゃ地元の格ゲー大会でタイトル持ってくような実力者である。
そんなのを相手に、日がなRPGに時間を費やす俺が勝てるわけもなく…当然のように却下。
「そう?龍はセンスあると思うよ?…だから私が鍛えてあげようってのに」
「嫌だよ。その時間があったらレベル幾つ上げられると思ってるんだ」
「ワガママな奴ー」
「うっせ、言ってろ。負け続ける俺の気持ちにもなってみやがれってんだ」
「ヘタレー」
「へいへい、ヘタレでござんす」
そんな会話を繰り広げる内に、準備は終わってしまう。
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