『一寸先は闇』ですね…

4/7
前へ
/639ページ
次へ
「貴方が、…を殺す………か?本当に、………ますか?…の震……手で?…………な表情…?………、いいですよ。殺した………、……せばいい。………としても、好都合です」 女の子の声と、血の臭い。 これは、色々と不味そう。 「一君、手遅れになる前に行こう」 「あぁ…」 僕の巡察の時に面倒起こさないでくれないかな。 暇潰しはしたいけど、面倒事はごめんだよ。 …って、思っても仕方ないか。 何故なら、僕達は新撰組だから。 面倒事は向こうから寄ってくるし、こっちから近づくこともある。 「貴方は、本当に殺したいんですか。今だって、半狂乱ですよね。それで、私まで殺して、自我を保てますか?」 ………うん? ちょっと、待って。 色々と、整理したい。 「自分は悪くない、そう思うのは結構です。しかし、責任転嫁をしたところで、無意味なんですよ。だって、貴方自身が自分のことを悪いと思っているから」 「うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい!!!!」 何を言っているのかな? 女の子は、何で挑発するようなことばかり言うんだろう。 「貴方みたいな無責任な人に殺されるとか、笑えますよね。何か、嫌になってきたな。貴方みたいな人に殺されることが」 何で、煽るかなァ…!!! あの路地から聞こえるんだけど、間に合うかな。 いや、間に合わなきゃいけないんだけどさ。 ちょうど、路地へ入る角を曲がる。 間に合った、と思ったんだ。 だって、断末魔なんて聞こえなかった。 でも、僕の予想に反して、目の前に広がる光景は残酷だった。 「…ぅ゙!」 真っ赤なんだ。 全てを染めるように、赤くて、あかくて、アカくて。 幾度の戦いをしてきた隊士達が嗚咽を発する程に、残酷なものだった。 情けない、とは言えなかった。 いくら、僕の隊に所属していたって、地獄のようなこの光景を見て、何も思わない筈がないから。 僕の目に映るのは、一太刀で殺された女と、原型のないかつて人だったもの…。 そして、赤に染まった異国の服を着ている少女。 不謹慎だと思うし、狂ってるとも思う。 でも、思ってしまうんだ。 その血濡れの少女を綺麗だって、ね。 おかしいよね、残酷なのに幻想的なんだ。image=502680032.jpg
/639ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1299人が本棚に入れています
本棚に追加