1299人が本棚に入れています
本棚に追加
「貴方が、…を殺す………か?本当に、………ますか?…の震……手で?…………な表情…?………、いいですよ。殺した………、……せばいい。………としても、好都合です」
女の子の声と、血の臭い。
これは、色々と不味そう。
「一君、手遅れになる前に行こう」
「あぁ…」
僕の巡察の時に面倒起こさないでくれないかな。
暇潰しはしたいけど、面倒事はごめんだよ。
…って、思っても仕方ないか。
何故なら、僕達は新撰組だから。
面倒事は向こうから寄ってくるし、こっちから近づくこともある。
「貴方は、本当に殺したいんですか。今だって、半狂乱ですよね。それで、私まで殺して、自我を保てますか?」
………うん?
ちょっと、待って。
色々と、整理したい。
「自分は悪くない、そう思うのは結構です。しかし、責任転嫁をしたところで、無意味なんですよ。だって、貴方自身が自分のことを悪いと思っているから」
「うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい!!!!」
何を言っているのかな?
女の子は、何で挑発するようなことばかり言うんだろう。
「貴方みたいな無責任な人に殺されるとか、笑えますよね。何か、嫌になってきたな。貴方みたいな人に殺されることが」
何で、煽るかなァ…!!!
あの路地から聞こえるんだけど、間に合うかな。
いや、間に合わなきゃいけないんだけどさ。
ちょうど、路地へ入る角を曲がる。
間に合った、と思ったんだ。
だって、断末魔なんて聞こえなかった。
でも、僕の予想に反して、目の前に広がる光景は残酷だった。
「…ぅ゙!」
真っ赤なんだ。
全てを染めるように、赤くて、あかくて、アカくて。
幾度の戦いをしてきた隊士達が嗚咽を発する程に、残酷なものだった。
情けない、とは言えなかった。
いくら、僕の隊に所属していたって、地獄のようなこの光景を見て、何も思わない筈がないから。
僕の目に映るのは、一太刀で殺された女と、原型のないかつて人だったもの…。
そして、赤に染まった異国の服を着ている少女。
不謹慎だと思うし、狂ってるとも思う。
でも、思ってしまうんだ。
その血濡れの少女を綺麗だって、ね。
おかしいよね、残酷なのに幻想的なんだ。
最初のコメントを投稿しよう!