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「僕の名前、何で知ってるのかな?長州に関わりがあるとか?」
その問いに対して、私は冗談交じりに答える。
「長州?何それ、美味しいの?」
カチャッと音がした瞬間、私の首元に鈍く光る刀があてられた。
それは、一瞬の出来事で、驚く暇もないというやつだった。
「…君は敵、味方?まぁ、どっちでもいいか。ここで、死んでもらうから」
…疑わしいものは排除ってことね。
馬鹿みたい。
刀なんか抜いて、何してんの?
そうやって、疑わしいものを排除し続けて何になるの?
私より生きてる癖に、そんな生き方でいいの?
それとも、幕末ではそれが普通のことなの?
平成生まれの私には、到底理解できないよ。
理解したくもないかな、そんなこと。
ま、殺したければ勝手に殺せばいい。
私は、どっちでもいいから。
「総司、落ち着け。屯所に連れて行くのだろう」
「冗談だよ。一君ってば、心配性だなぁ」
はじめ…?
あぁ、この人も有名だよね。
「斎藤一、か」
「何故」
いや、"何故"って言われても…。
"知ってる"んだよ。
知ってるって悪いことじゃないでしょ。
無知より、いいことじゃん。
それに、知ってる癖に知らないフリをするよりいいでしょ?
これに関して、私は悪くないと思うけどな。
悪くないよ、絶対に。
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