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*****斎藤side
おかしい。
この娘には、おかしな点が多い。
俺達、新撰組を見ても、屯所に行くと言っても恐れない。
自分のことの筈なのに、興味がないようだ。
それに格好も髪もおかしい。
異国のような服を着ていて、髪は短め。
異人なのかと思ったが、我々と話ができる。
おかしいだろう。
こんな、か弱そうな娘が大人の男を倒し、尚且つ木っ端微塵にできるものか。
誰だって、我が身が大事だろう。
何故、分からないことに喜ぶのだ。
何故、無表情ながらも胸を押さえつけて俯いた。
何故、どうして、俺には分からん。
そんなことを考えていると、屯所に着いた。
娘は、ほんの少しだけ口角を上げた。
そして、娘の口から小さな小さな声がこぼれでた。
もどるんだ、と。
確かに、娘はそう言ったのだ。
…何かが、おかしい。
何がおかしいのか、言葉にすることができずに、もどかしく思う。
…副長であれば、分かるだろうか。
俺とは違うものの見方をする、この娘のことが。
副長ならば、分かってしまうのだろうか。
そう思った時、ちくり、と何かが胸に刺さったように痛んだ。
俺は、何を考えている。
俺は、俺の任務を全うすればいいのだ。
「さぁ、入れ」
娘の背中をトンッと押す。
「はーい、怪しい不審者入りまーす。よろしく、どーぞー」
出会って間もないのに、頭が痛くなってくる。
本当に何なんだ…。
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