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*****朱音side
門をくぐると、痛い目で見られた。
まぁ、仕方ないんだけどね。
私自身が、あの男の血で真っ赤だし。
血塗れの人間が、いきなり来たら、そりゃあ驚くし警戒もするよね。
私は、気にしないよ。
いくらでも、そういう目で見ればいい。
どうだっていいから。
…そう、どうだっていいんだけどね。
「縛ることないよね。ねぇ、何で、私は縛りあげられてんのかな?」
腕に縄がくい込んでて、痛いんですけど。
とても、痛いんですけど。
「…おーい。二人して明後日の方を向くなぁあああああ!」
こっち見ろ、マジで見ろ。
ほら、腕にくい込んでるだろ、縄が。
おい、アレだからな。
このままいくと、私の腕が紫色に変色していくんだからな。
「いや、仕方ないでしょ?木っ端微塵は、ごめんだからね」
あ、そうですよね、分かり…ませんからね?
おかしいですからね?
木っ端微塵なんかにしないって。
誰が好き好んで、人を木っ端微塵にするんだよ。
私の第一印象って、そんな感じなの?
残念すぎるだろ、普通に。
あれ?
何か、どんどん私のキャラが崩れてるような気がする。
「最善の処置だと思うが」
最善って何だろう…。
人間不信になるよ、これ。
もう手遅れなんだけどさ。
「鬼なのか、アンタ等は。何かしましたか、私?」
「「人殺し」」
うん、ごめんね。
殺した発言はしたけど、実際は殺してないんで。
だって、信じてもらえないし。
むしろ、誰が信じてくれるのって話だし。
ねぇ、正直に言ったら、手放しに信じてくれた?
自称魔王が殺した、なんて言ったとしてもさ。
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