『浅い川も深く渡れ』って感じです

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いきなり、部屋に入れられた。 誰の部屋だよ、ここは。 四方八方、男の人達に囲まれる、この状況。 威圧感、すごいよね。 後、多分、この人達って、新撰組の幹部だよね。 それから、天井にも誰かいるでしょ。 こういう時って必ず、天井のところに忍者っぽい誰かいるよね。 完全包囲じゃん。 逃げ道、皆無じゃん。 いや、逃げないけどね? 「…で、テメェの名前は?」 ……偉そうな態度の男の人が口を開いた。 いや、まぁ、実際に偉い人なんだろうけどさ。 「偽名でもいいですか?むしろ、偽名しか言いたくないです」 ぴしりと空気が固まった。 え、私が悪い感じかな? だって、知らない人に名前を教えたくないし、仕方ないじゃん。 「…おちょくってんのか?」 「じゃあ、匿名希望で「あ゙!?」 仮にも警察に該当する組織の人間の癖に、どちらかと言えば捕まる方のヤバい顔してるね。 般若のお面つけてるみたいだよ。 鬼か、鬼なのか。 なら、土方歳三か。 「そんなに怒って、どうしたんですか、土方歳三さん?」 また部屋の空気が変わった。 次は、ピリピリしてる感じ。 カルシウムが足りてないんじゃないかな。 由々しき問題だよね。 魚食べなよ、魚。 「あ、それと天井裏にいる人…」 新撰組で、忍者っぽいって定評があるのは、山崎烝だよね。 「山崎烝さんですよね?降りて来たらどうですか」 土方歳三は、顔をひきつらせた。 部屋の中に、動揺が走る。 「いつからだ、いつから気づいていやがった」 「さぁ、いつからでしょう?最初からかもしれないし、今気づいたのかもしれない。でも、それを貴方に答える義理はないですよね?」 「…山崎、降りてこい」 シュタッと黒い服に身を包んだ男が、降りて来た。 本当に忍者っぽいな、外国人が見たら大喜びだよ、絶対。 「気配は消しとった、何で気づいたんやろか。なぁ、お嬢ちゃん?」 山崎烝は、無表情に私を見る。 何、そんなに気に食わないの? 自分が、こんな小娘に見破られるわけがないって? 知るかよ、自分を過大評価しすぎなんだよ。 「いつから気づいとったん?」
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