1299人が本棚に入れています
本棚に追加
*****朱音side
歴史、ね…。
そういうものは嫌い、なんだけどな…。
そもそも、"歴史"っていう言葉が嫌いだし。
歴史は、所詮"過去"。
過去に学ぶものなんてない。
過去に学ぶなんて馬鹿らしい。
それが、私の自論。
過去は残酷なだけ。
今を生きる私達に過去は必要ない。
そう思う私は、おかしいですか?
「それにしても、幕末のレポートって…」
面白味もなければ、将来に役立つとさえ思えない。
だからと言って、過去が。
この幕末が私でいう"今"になったのなら…。
「…好きになったとでも?」
幕末という世界を…。
その仮定の中で、私は違う"私"になれるとでも?
答えは明白。
そんなこと、ありえない。
ありえる筈がないのだ。
何故なら、今を好きになれない私が過去を今としたところで変わらないから。
馬鹿らしい。
結局は、戯れ言なんだよ。
しかし、まぁ…。
私は、自宅への帰り道を通っていた筈だった。
そう、ここはいつも見慣れた、変わり映えのない道の筈なんだ。
何かが変われば、すぐに気づける、そんな道の筈なのに…。
「何これ…」
私の目の前にあるものは、私の目の前にあるべきものではなかった。
つまりは、ありえてはいけないもの。なのに、目の前にある。
最初からそこにあったかのように。
ごく自然に、そして異様に、そこにあるのだ。
最初のコメントを投稿しよう!