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絶望の淵に立ち
「私…帰ります、両親が待っているもの」
「どこへ帰る?お前の家はここなんだよ」
「違う!違う!違う!
…お願い、帰らせて」
月日を追うごとに圭子の症状は進み、出来ない事が増えてきた
頻りに両親を恋しがり、帰りたいと言った
…お前の人生に僕は必要なかったのか?
僕は変わりゆく妻の姿を見るのが辛く居たたまれなかった
ある日の夜、ほんの少し目を離した隙に圭子がいなくなった
「圭子!圭子ー!どこにいるんだ!」
僕は我を忘れて探し回った
そうだ河原だ、圭子が好きだった場所だ
僕は走って河原に向かった
息を切らし土手を駆け下りると、川岸の葦の中に圭子はいた
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