絶望の淵に立ち

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「どうしたの?そんなに慌てて…」 息切れで口を開く事もできない僕に圭子は言った 「…ねぇ、雪が積もらないかしら? ここに雪が積もったら綺麗なのよ…貴方見た事ないでしょう? 汚い物を何もかも覆い尽くして…真っ白になるの」 「…だろうね、でもまだ雪が降る季節じゃないよ …帰ろう、僕達の家に」 「…そうね」 足元の悪い河原はゴミが散らかり近くで見ると汚い 圭子はこの場所が好きだった 土手を上がると、遠くに黒っぽいお城が見えて、細い橋の向こうには木々が生い茂る 川幅はどこまでも広く、向こう岸は遥か遠くに思えた
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