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「馬鹿もーーーーん!」 巨大な五芒星の形をした古の建造施設(夢機関)から、地鳴りの如き中年男性の叫び声が、こだまして、同施設の最上部から、天空に伸びる巨塔の天窓が、一瞬だけ持ち上がった。 「にょぁぁぁ!」 続けて、ひどく間の抜けた少女の叫び声。 それから、ほどなくして、外壁をつたう排気筒の先端に、小気味よい音をたてて炎が立ち上り、それに連動して、施設全体の外壁の一部と化した、特殊金属製の歯車が回り出す。 ウォォォォン!(サイレンの音) けたましいサイレンの音が轟き、敷地の中央に設置された可動式の砲台が、白煙をまき散らして二脚で立ち上がり、砲身を360度回転させたかと思うと、上空に砲口を定めて、ぴたりと止まった。 次の瞬間。 砲身がぐらりと揺れたかと思うと、砲口から光の玉が撃ち出され、遅れて爆音が大気を揺らした。 ドカーン! 光の玉は、ぐんぐん、桜色の空を駆け昇り、上空に飛び去った鳥の群れをすり抜け、甘い香りがする綿菓子の雲を突き破って、幾何学模様の太陽の正面で、静かに弾けた。 すると、何という事でしょう!
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