0人が本棚に入れています
本棚に追加
1年ほど立てばみんなが忘れていく。海も謝るという決意をしたにも関わらず、葬式以来母池の墓に行くことはなかった。
ある日、海は突然金縛りにあう。それも夜中ではなく、昼間一人で歩いている時だった。
海は周囲の建物や人が急に大きくなったように感じた。違う、自分が小さくなっている。海は自分の影に引きずり込まれていた。
その時、死んだはずの母池の声が聞こえた。
『裏切り者。』
いくら焦ろうとも、金縛りにあっているせいで身動きはおろか、声も出せない。やがて海の姿は自分の影に飲まれ、消えてしまった。
その後、海の姿を見たものはいない。
最初のコメントを投稿しよう!