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ザーザー......
...どのくらいの時が経ったであろうか
いや、其ほど時は経っていない
未だ降りしきる雨はやむ気配が無い
そして、神來と凛もまた互いの体温を感じながら抱き合っているままであった
『.........ん...あの...』
暫くすると凛は息苦しさを感じ、神來の胸を軽く押すと体を離した
『あ...ああ、悪い...』
『いえ......私の方こそ......。だいぶ落ち着きました...取り乱して申し訳ありません』
そう俯きながら話す凛の瞳からは涙は消えていた
しかし、目は赤く充血し腫れていた
神來はそんな凛の姿を見て、少しだけ表情を歪めた
『........桜は大丈夫みたいだな...』
『え......?あの...どうして分かるんですか...?』
唐突に神來が発した言葉に凛は困惑している。様子を見に行ってもいない、翠明からの報告があったわけでもない
なのにどうして無事だと分かるのか、凛には理解できなかった
『......匂いがする』
『...え?匂い...?』
『ああ、彼奴の...桜の匂いを感じた、だから大丈夫だ。ーー生きてる』
『?!!』
“生きてる”という言葉に凛の肩は震え心臓がはねあがった
桜さんは生きてるーー
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