▲始まり▲

3/23
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
――乎蔵里の東の方角にある、一つの屋敷。 ド...ド...ドタドタドタドタドタドタッッ!! スパーンッッ! 勢いのよい足音と、これまた勢いのよい音をたてて、襖が開けられた。 『神來っーーーー!!』 『ん...あぁ?』 襖を開けた女...いや、肩までの藍色の髪の、美青年が呼んだ、“神來(ジンライ)”という男は、暢気にひじを立て、寝転がっていた。 赤い髪が特徴的な男である。 『あー、雲条(ウンジョウ)じゃねぇか。朝早くから、御苦労様。』 『神來!何ゆえそなたはいつも、道場に顔を現さないのだ!昨日、長老様から、あれほど言われたであろうっ?!』 そう言うとご立腹な雲条は、無造作に敷かれた座布団の上に乱雑に座った。 それを見た神來は、起き上がり、真剣な眼差しで雲条と向かい合った。 『神來?な...なんだ?急に。』 『......。』 『じ...神來??何か申せ...。』 何も喋らず、ただひたすら雲条の顔を凝視する神來に、雲条は恐れを抱き始めた。 『神.ら....『お前、鼻血出てるぞ。』 『ーーっ!!!!!!』 雲条は勢いよく鼻を抑え、手についた血を見た。 どうやら鼻血は本当だった様だ。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!