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凛は神來と共に屋敷の外へ出ると、項垂れる二朗が目に入った。
『...あの!神來さん、ちょっと待っててもらえますか?』
『は?ああ、分かった......?』
凛は神來に一言掛け、二朗の方へと駆け寄っていった。
『あの!二朗くんっ!』
『わわわっ凛さん、ごめんなさい!!!!』
二朗は凛の顔を見ると直ぐ様謝罪をしてきた。
そして、頭を抱えてしゃがみこんだ。
『.........二朗くん、私は別に怒ってないから顔上げてくれる?ね?』
『......。』
凛の優しい声に二朗は恐る恐る顔を上げた。
その目には、またもや涙が浮かんでいる。
『ただ聞きたいことがあるの。...あのね...刀の事なんだけど、どうして初めに隠したの?』
『そ...それは...何となく咄嗟に、他の奴等に見られちゃいけない気がして......。
あんな場所で気を失っていて、女の人なのに刀も持ってたら、里の皆に怪しまれると思って...。まだ丸腰なら、警戒もないかな...と。』
『......。』
『...でも、今思うとそんな心配いらなかったのかなって。ここの里の皆には、何ともない事だったのかもしれないって思いました...。あの時は、とにかく慌てていて......。』
二朗がそう話し終わると、凛は疑問に思っていた事が解決し、穏やかな笑みを浮かべた。
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