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ザー...ザー...
雨が冷えた体を激しく打ち付ける。
刀を握る力もない。
深く深く傷付いた体からは赤く鮮やかな血液が流れでる。
もう何も考えられない。
意識が朦朧としてきた。
これが“死”ってやつか...。
『......。』
――誰だ?
―――誰が手を差し伸べてるんだ...?
顔が見えない。
辛うじて分かるのは、差し出された骨太で豆だらけの大きな手。
それが滑稽に見えて俺は鼻で笑ってしまった。
『...まだ笑う元気があるか...。』
その手の持ち主の声。
どこか温かさを感じた―――。
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