▲乎蔵里▲

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それから夜になっても凛は、同じ屋敷に居ながらも神來と顔を会わす事は一度も無かった。 そして今日に至る――。  神來は凛の部屋の前で止まったままだ。 『...俺もまだまだ餓鬼だな...。』 凛は人間だが悪い奴ではない。それは解っている。 しかし、神來は人間を本能的に拒絶してしまう。 それはきっと過去のせい。 それともう一つ、神來が凛を避ける理由がある。 それは...あの瞳。 神來は一度だけ凛の瞳の中を見た。 敵かを見極めるために。 ただそれだけだった。 しかし、凛の瞳には何かが宿っている。それが何かは神來にも判らなかった。 そしてその瞳を見ると胸がざわつく...。 わからない。 少しの恐怖さえ感じる。 そう、こんな事が理由の一つなのだ。 長い時を過ごしてきた自分が悩む事ではない。 またそれが、神來を無性に腹立たせていた。 『ちっ......。』 神來は軽く舌打ちをすると湯殿へと向かった。
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