19人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に着くと襖が開けられていた。
凛は恐る恐る中を覗いた。
そこに広がっていた光景に凛は言葉をなくした。
『おい!桜!しっかりしろ!!おいっっ!』
『......。』
必死に名前を呼ぶ神來の腕の中には、ぐったりとして意識のない桜の姿だった。
『翠明がもうすぐ来てやるから後少し頑張れ!桜!!』
呼び声に全く反応を示さない桜に神來は舌打ちをすると、自身の腕を口にあて噛みついた。
そこからは血が滲み出てきていた。
そして、次の神來の行動に凛は困惑した。
『あっ...あの、神來さん何を...?』
『...。』
神來は凛の方を一度見たが、何も答えず桜の腕にも噛みついた。
そして自身の血を口に含むと、桜の傷口に唇をあてた。
神來の血が桜の体内をめぐる。
凛はその奇怪な行動が理解できなかった。
凛が呆然としていると遠くから騒がしい足音が聴こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!