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『――はぁはぁ...神來っ!』
駆け付けて来たのは翠明だった。この雨の中走ってきたらしく全身が濡れていた。
そして手には、医療道具が入っていると思われる木箱を持っていた。
『翠明。応急処置はした。後は頼むっ。』
『分かった!...すまない神來。大丈夫か?』
『俺の事はいい。それより早く桜を頼む。』
『ああ。』
神來の姿に翠明は驚く事もなく、ただ少し辛そうな表情をしただけで治療を始めた。
その光景は、凛にとって不思議なものだった。
そして、呆然とする凛は手も足も動かせない状態で突っ立っていた。
そんな凛を見兼ねた神來は凛の手を引っ張り、別の部屋へと移動した。
神來の腕からは未だに真っ赤な鮮血が流れ出ている。
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