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『はぁはぁはぁ...。』
別の部屋へと移動した凛は心を落ち着かせていた。
一方、神來は何も話さない。
このどしゃ降りの上、灯りをつけていない部屋の中は薄暗く、神來の表情を伺うことはできない。
唯一確認出来ることは、未だ凛の手を神來が握っているという事だけ。
そして、最初に声を発したのは凛の方だった。
『......あの...桜さん...大丈夫でしょうか......?』
『翠明を信じるしかねぇ...。』
『そ...そうですよね.........。』
続かない会話。
凛は先ほどの神來の行動も気になっていた。
しかし、それよりも不安で一杯だった。
―――これが女妖魔の運命。
いずれは......。
皆分かっている事。
でも、あまりにも残酷過ぎる...っ。
こんな運命あってはならない筈なのに!
気づけば凛の頬には一筋の涙が伝っていた。
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