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『...お前、何泣いて...』
『だってっ...神來さんは悔しくないんですかっ...?!』
凛は声を荒げて神來を見た。
瞳には沢山の涙。
『どうして...っ?こんな事が...っ。こんな運命どうかしてる!』
凛の瞳からは止まることなく涙が溢れてくる。凛はそれを拭くこともせずながし続け、強い眼差しで神來を見つめている。
『......っ。』
次の瞬間、神來は握っていた方の手を自分の方に引き寄せ、凛を強く抱き締めた。
『...?!』
凛はいきなりの事に目を見開き驚いた。
『......悪い、しばらくこのままでいさせろ。』
『.........。』
神來はそれだけ言うと凛を強く強く抱き締めたままで何も話さない。
何かを感じた凛は、同じく黙ったまま神來の背中に手を回した。
凛の着物には神來の血がべったりとこびりついている。
そんな事は気にせず、神來の腕の中で凛は涙をながし続けた。
有り得ないぐらいに静かな時間が流れる。
外の雨はますます強くなっていた。
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