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「は…?男物の…?」
「はい。あの…ございませんでしょうか?」
「いや、あることはあるよ。せやけど何で青葉はんがそんなもの必要なんや?まさか男にでもなる気かい?」
由のその言葉に青葉は何も答えずただ真っ直ぐと由の顔を見つめていた。
「青葉はん…。そんなん無茶やで?男なるなんて…あんたはんいったいどんな事情があるんや…。」
と由は哀しそうな顔で深く深く息をはいた。
そしてしばらく考えるように下を向いていたが、やがて何かを決意したようにきっと青葉の顔を見た。
「はかまと着物、あげるのはかまへん。せやけど何であんたみたいな若くてべっぴんな娘はんがそんなことするのか、その訳を話してくれへんか?
訳も聞かんで別れてもうたらうち、絶対あとで後悔するさかい。
どや?交換条件や。」
青葉はその言葉を目につぶりしばらく考えた。
「…訳を話したらお着物をいただけるのですね?」
「もちろんや。約束する。」
「わかりました。では…お話します。」
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