氷の世界

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「早く名前を決めてやれよ」 言われてウェンズディは腕の中にいる精霊を見る。精霊は赤い円らな瞳をウェンズディにひたむきに向けていた 「あなたの名前は……」 そっと耳打ちしてやると、嬉しそうに精霊は自分の世界に帰って行った 《終わったようだな。私も帰る。近い内に遊びに来い。此処では落ち着いて話も出来なそうだ》 ドラゴンもウェンズディに告げて、今度は大きな翼を広げて帰って行った 『モテモテだね』 ロロは少し得意そうだ 騒動が終わった後も、ウェンズディの周りには誰も来なかった 直接助けたラストの周りに人垣が出来て、ラストに皆感謝をしている 『人間にはモテないけどね~』 それでも、ウェンズディは少しも気にならなくなっていた 人垣からラストと目が合う 「ウェンズディ!校長から聞いたか?俺とお前は卒業したら中央の機関で働くらしいぞ!それまでには空くらい飛べるようになってくれよ!」 ポカンと口を開けたままになっているウェンズディを置いて、ラストと取り巻きはその場を離れて行く 「嘘……」 ラストの使い魔の大鴉がラストから離れて、ウェンズディの肩に止まる 『嘘だったらこっちも楽なんだけどな。ようやくバカ猫と暴力女から解放されると思ったのにさ。ま、愛されてるね』 嫌味に笑う大鴉をあうんの呼吸でロロと追い払う 大鴉は嫌味に笑ったまま、ラストの後を追った 「愛されてるですって?何て嫌味な奴!そんな訳ないじゃない!」 それでもウェンズディは1つだけ分かった事もある 「でも、私。自分で思ってたよりも、この学校の事、愛してるみたい」 ロロも満足げに頷いた
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