6人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
氷の世界
冬至祭が終わると、冬は一番厳しさを増す時期に入る
『ウェンズディ。そろそろ中に入ろうよ』
裏庭で箒に跨がり何やら奮闘しているウェンズディに、翼のある黒猫の使い魔ロロが情けない声をあげる
「だって!室内で練習したら危ないじゃない!」
ウェンズディの脇には粉砕された箒が何本も積み重なっている
『箒で飛べない魔女がいたって別に誰も気にしないよ』
何度目になるか分からない飛行魔法を使った瞬間、ウェンズディは箒に振り飛ばされて、地面に体を打ちつけた
「痛ったい!ロロが横から余計な事言うから、箒から落ちたじゃないの!」
ウェンズディは暴れ馬のようになっている箒を掴んでロロに投げる
『八つ当たり!』
ロロはひょいと箒をよけて、ウェンズディの肩に乗る。箒は裏庭を暴れたいだけ暴れてから何処かに飛んで行ってしまった
「もう!3月で卒業だって言うのに箒に乗れないのは私だけよ!」
練習用に持ち込んだ箒は、さっきので最後だったようで、ウェンズディは諦めたようなため息をつく
『もう昼休みも終わるし寒いし寒いし寒いから教室に戻ろうよ』
大袈裟に体をブルブルと震わせるロロを肩に乗せたウェンズディは、返事もせずに裏庭を後にした
最初のコメントを投稿しよう!