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ゴウゴウと雪が哭く
いや、哭いているのは氷の精霊だった
「ザネリは何をしたの!」
吹雪の真ん中に立って、哭く氷の精霊は自分の子供を探していた
《人の子!例えお前が言葉が通じるからと言って、許す訳が無いと思え!》
「違う!ザネリは呼び出しに失敗したはずだ!小さな契約円には何も現れなかった!」
ウェンズディの言葉を受けて、ラストが叫ぶ
「とにかく、吹雪だけでも止めて!でないとあなたの子供は探せない!せめて5分で良いから止めて頂戴!」
その言葉を受けて、吹雪が止まる
《お前がドラゴンの娘か。良いだろう。5分だけ止めてやる。しかし、それで見つからなければドラゴンと共に去る事を約束しろ》
「分かったわ……」
静かになった広間でウェンズディは耳を澄ませる
聞こえるのは、ロロとラストとラストの使い魔。後は氷の精霊の息づかいだけで、他には聞こえない
ラストは呼び出しには失敗したと言っていた
『氷の精霊の勘違いじゃない?』
ロロがウェンズディにそっと囁く
「違うわ。見つけた」
ウェンズディはツルツル滑る床を慎重に歩きながら、氷の一角にたどり着いた
そこには、小さな氷の卵があった
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