氷の世界

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放課後、変化の魔法が綺麗に解けなくて、ピンクと黒の斑になったロロを肩に乗せて、校長室に向かう 『最悪だよ。これ。僕のベルベットのような美しい毛皮が台無しだ』 肩の上で上手にバランスを取りながら必死で毛繕いをしつつ文句も忘れない、と言う離れ技を披露するロロをウェンズディは軽く無視して、楽しそうに「次はどんな精霊と契約しようか」なんて喋りながら契約の塔に向かう生徒達を眺めていた 「皆、大っ嫌い」 1人呟いて、ずかずかと大股で廊下を歩く しかし、校長室の前に来た時は、さすがのウェンズディもその威圧感に圧倒されてしまって、そのままの勢いで扉を開ける事は出来なかった 「ウェンズディ・ノートですね。入りなさい」 扉の向こうから、校長先生の優しい声が聞こえる 「どうしよう。ロロ!」 『とりあえず、校長先生にこの色を治して貰おうよ!』 「もう!ロロは自分の事ばっかり!」 『ウェンズディだってそうじゃないか!』 校長室の前でいつもの喧嘩が始まる前に、音もたてずに扉が開いた 「早く入りなさい」 ふくよかで優しい顔をしたお婆ちゃんが微笑みながらウェンズディとロロを見る 「はい……」 校長先生は誰よりも魔法力が強いから、校長になれるのであって、優しい笑顔だからと言って安心は出来ない事をウェンズディは身を持って知っている 入学から今まで、何度も校長室に呼ばれ、何度もこの優しそうなお婆ちゃんの魔法の実験台になってるのだ……
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