第一術式 僕の奇妙な日常

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「神在月先輩は?」 「まだ来てないっすね」  武道は腕立て――そういや、これって腕立てと言ってもいいのだろうか――をしながら僕の質問に答える。 「あと、部長と副部長も来てないっすね。他は全員居るっすよ」 「そっか。頑張れよ」  武道の前を過ぎて、部室の奥に向かう。  この部室、人数の割に結構広い。  魔術を使っているとはいえ、よくまぁ隠し通せるもんだ。  あるいはこの広さも、魔術によるものなのだろうか。この世界に入って日の浅い僕には、そこのところよく分からない。  部室の手前、運動スペースを横切り、奥の机に向かう。  初心者の僕は、そこで魔術の基礎を学んでいるのだ。  僕の指導を担当している先輩が来るまでは特にすることもないので、昨日教えてもらったことの復習でもするか。  先輩に誉めてもらいたいからね。  と、考えた時、横合いから声を書けられた。 「よぉ、玖払」 「薬師寺先輩、こんにちは」  頭を下げて挨拶する。  そこには、制服の上に白衣を着た男子生徒。  二年生の薬師寺 療治<ヤクシジ リョウジ>先輩だ。  専門は、魔法医学と回復魔術。  二年生唯一の男子である。  入りたての僕にも気軽に接してくれる、気のいい先輩である。  とてもいい人ではあるのだが、一つ問題をあげるとすれば――――。 「玖払、見ろよこの写真」 「? なんかの雑誌の切り抜きですか? 一体この女性がどうしたって――――」 「この、ホットパンツから伸びる太もものライン……そそるだろ!?」 「…………」  あまり話したくない、変態だということだ。
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