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◇ ◇ ◇
「…………で、術式っていうのはつまり、パソコンのプログラムみたいなもので…………」
「なるほど…………」
数分間、神在月先輩と魔術のお勉強をしていた。
別名、至福の時間。
このまま時間が止まればいいのに。
しかし、僕にはそんな大魔術は使えない。
現実はくるくると時計を回す。
「部長、遅いなぁ……」
ぽつり、と神在月先輩が呟いた。
ぴくり、と僕はその呟きの内容に反応してしまう。
部長。
言うまでもなく、この魔術部の部長。
そして、今のところ僕の一番の恋敵だと思われる。
なんだか、神在月先輩からの部長への好感度が高いのだ。
部長と先輩の親しげな様子は、まるで兄弟のようだ。
僕としては内心面白くない。
だから、なるべくこないでくれたら幸いなのだが――――。
「よーっす」
「こんにちは」
……現実はそんなに優しくない。
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