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渡り廊下に差し掛かった。
「お前そっちだろ。部活行ってこいよ」
「えぇー。ギンセーと別れたくない……」
「気持ち悪いこと言うな」
手を振って犬のように、追い払う仕草をする。
「酷い……」
意に介せず、僕は岸谷と別方向へ向かう。
「じゃあな」
「うん、じゃあね」
ゆっくりと、僕は部室へと向かった。
横顔を照らす、日の光。
頬をなぜる風が心地よい。
遠くから、カバディ部の声が聞こえてくる。
そして、他にも感じるものが………………。
「ついてくんな」
岸谷の視線。
「び、尾行は新聞記者にとって重要な技術であって、その練習を」
「さっさと部室へ行け」
「はい……」
肩を落とした岸谷が部室へ向かうのをしっかりと見届けてから、僕は改めて部室の方向に体を向けた。
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