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「そろそろスタミナが尽きたんじゃねーか?」
「馬鹿言わないで、これぐらい平気よ」
正直、ほんの少し扱っただけでここまで扱えるだなんて思わなかった。
それ程までに相性が良いのか、適性が高いのか、はたまた彼女の実力なのか、わからないけれども楽しかった。嬉しかった。
まるで子供の成長を見守る親のような感覚だった。
何故なのかわからないけど、そんな気持ちが私の中を満たしていた。
「もらったぁぁぁぁぁ!!」
目の前にハンマーを構えて飛び込んでくる白帆。
それを回避して今は模擬戦中だから頭を切り替える。
確かにハンマーは威力が高く、一撃でも貰えば有効打になって試合が終わる。
気がつけばこれを模擬戦ではなく、試合と捉えて私は楽しんでいた。
「さっきから避けてばっかで、それじゃこっちはつまんねーんだ。だから攻めてこいよ」
攻めてこいとリクエストを受けたので全力で攻める事にする。
私は刀を構え、一気に懐に飛び込む。
スーツ自体に推進力があるのと、強化された身体能力のおかげで体が軽く、すんなりと懐に入り込み、そのまま白帆の首筋に刀を当てる。
結果、あっさりと終わってしまった。
「確かに攻めてこいと言ったけども、それなりの限度ってもんがだな…」
「相手が強いとわかっているのに、攻めさせるのもどうかと思うけど」
「てか、ぱるの性格が普段と変わってねーか?」
「それは私が説明しよう!パープルの素の性格では戦闘には不向きな為、戦闘モードの時だけやや強気になるのだ!!」
「なら仕方ないな。」
「何故納得するのか不明なんだけど…」
そうこうしている内にアズも戻ってきた。
「そういえば…」
私が2人に言わなければならないことを思い出す。
「明日から私は寮で暮らす事になって、偶然にも2人と同じ部屋になったから」
2人の動きが止まり、長い沈黙が続く…
「なんでそんな大事な事は早く言わねーんだよ!!」
白帆の怒号が響いた。
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