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罪悪感と、謝罪と、絶望を感じた。
私は妻を愛していた。
だからこそ、どうしようもない怒りを感じた。
妻が病気であるという知らせを受けた私を、決して帰してはくれなかった義父となる人に。
そして、他でもない、その彼の娘に一目で恋に落ちてしまった自分自身にだ。
私は、最愛の人を裏切った。
この罪は一生背負っていくと誓った。
だから私は、新しく妻となる人に、努めて優しく接した。
それが私にできる精一杯の罪滅ぼしであると信じた。私はこの人を一生幸せにする。
ただ心残りなのは、一人残った息子の存在だった。
義父は息子を引き取ると言っていた。そしてその代わりに娘と結婚しろと。
今息子がどうしているのか、私には分からない。
ただ、幸せに過ごしていることだけを私は願っている。
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