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「じゃあ、さっきのが嘘だとして、何で誰も居ないんですか!!」
おもいっきり騙された仁は、激昂して隆志に問い詰める。
「ちょっ、落ち着け、流石にやり過ぎたから、謝るからな!スマン!スマン!」
やり過ぎた事を少し後悔…してもないか…反省しながら、何とか宥めようとする。
「謝るのはもう良いですから、何で誰も居ないんですか!」
仁は、まだ興奮が収まらないらしい。
「そう言われても、俺もわからねぇよ。とりあえず、中に上がって探してみようぜ」
実は、今までの茶番劇のような会話は、全て玄関で行われていた。隆志は、いい加減中に上がりたいのだろう。
「むぅ…わかりました」
これには、仁も納得せざるを得ず、了承する。
二人は、靴を脱いで玄関から上がり、正面の廊下を進んだ先にあるリビングに向かった。
「誰も居ないですね」
電気も付いておらず、少し薄暗い。
しかし、次の瞬間
パンッパパンッパンッパパンッパパパンッ!!!!!
「ウワッ!?なっ、何!?」
大きな音がなったすぐ後電気が一気に付いて
「「「「「Happy Birthday!!!!!!!」」」」」
どこに隠れていたのか、50人以上はいるであろう大量の人が、声を揃えて言った。その手には、使われたクラッカーが握られている。
「へっ?」
これには、流石の仁も訳が分からないようだ。
(だっ誰の誕生日だ…いったい。)
「何の誕生記念なんだ?」
気を利かせて、隆志が微笑みながら聞いた。
「「「「「そりゃ勿論、我等『RESISTANCE』の誕生1周年でしょ!!!」」」」」
RESISTANCEとは、仁が創設した、反政府組織だ。仁にサプライズを仕掛けた彼等は、政府に無理矢理住みかを奪われた人たちや、能力を持ったが故に政府に指名手配された人だ。それを、仁が救出し、養っているのだ。
「!…そうか、もう一年経ったのか」
(早いもんだなぁ、色々あったからか)
「なっ!お前は、嫌われてなんか居ないだろ。嫌われてるなら、お前抜きでお祝いしてた筈だろ」
「そうですね…安心しました!」
(隆志さん、知ってたんだな。)
そう。このサプライズを隆志は知っていた。知らなかったのは、仁だけだったのだ。皆が言うには、RESISTANCEを創設したのは仁なのだから、仁を祝ってやるべきだとのこと。
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