零話

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空は曇天 今にも雨が降り出しそうな空には1人の少年が箒(ほうき)に跨り飛んでいた 下は凪く海、暗く半透明でサアアと音をならす綺麗な海と波 風を切り、雲をぬけ、翠の少年は飛ぶ 後ろをとぶは魔獣、 少年を追う 30体はいるだろう 黒い翼を生やし、目はない 体は人間より一回り大きいだろう 少年は 右手をあげ 中指と人差し指を出し 額につけ 目を瞑り 唱えた 『「“…くるぶしき風よ  ー犇(ひし)めき   伽(とぎ)   紡(つむ)ぎなへたるー  ー迫り追う颪(おろし)よ   纏い纏え紡ぎくらんー  ーあらなう飄颱(かぜ)よ   爾(しかり)に   帥(ひきいり)てー  ー夙(つと)に我と   契(ちぎ)りさながらー  ーなじむ縹渺(ひょうびょう)   魁(さきがけ)り   いま誓(ちから)を   研ぎ澄わ籠(こ)ん!!”」』 ノイズ…何重にも聞こえた声の主、少年の右手には眩く明る、三重円の陣があった 後ろには巨大な三重陣を創られており、少年は詠唱をした 『「“ノトスコード!”」』 ノイズと共に魔方陣は翠に後光をさすように眩く輝き、風を誘(いざな)う 同時に近くの空気、共に大気は奮え、ありもしない空間へ風を凝縮する 瞬時に右手を魔方陣に合わせ、 向ければ 魔方陣と詠唱陣は 眩く煌めき開き 雷ではないが風は雷のように、 颪は台風のように風を巻き、海の水は渦をまく 2、3個の竜巻は猛スピードで敵を囲む さらに所々に魔方陣は現れ、縦横無尽に風の刃を… 環状の半円…三日月形が飛んでゆく まるで、 真空波のような太刀風の刃 風を切り、空を切り、雲を切る
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