王家の秘密

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 緋花は、緋依に支配下を行い、緋依を気絶させたのだ。  まっすぐに自分を見つめてくる緋依は、緋花にとって、支配下を作動させるのに容易かった。 (嗚呼――『何か』は、『私』)  まるで、緋羅を失った時のように、緋花崩れ落ちた緋依を抱き締め、泣いた。  緋花のすすり泣く音が、室内に響く。 「緋羅……私は、どうすればよかった?」  ――『産みたい』という『私』の我が儘が走り出し。 「……あの時の我が儘が、この子達を苦しめるの?」  ――子を守ることが出来ない己の無力さに、『私』の体が震え。 「それとも――が、」  ――他の者の思い通りに、事態は滑り落ちていき。
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