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『それに魚ごときの貴方でも……姫様への忠誠心だけは、真のものだと信じてますの』
『!』
蒼の柔らかい声音に利洲は目を見張って蒼の顔を凝視すると、蒼は〈利洲限定で〉十年に一度の微笑みを浮かべ、何てことないとでもいうように、悠然と去っていった。
蒼の後ろ髪が見えなくなるまで目で追っていた利洲は、額に手をあてため息を漏らした。
蒼には、毒を吐かれることが当たり前になっている利洲。
『あー、不意討ち』
まるで母親に頭を撫でられ褒められた小さい子どもような優越感に浸ってしまい、利洲は口許が緩むのを押さえきれなかった。
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