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トアの世界の身分制度に不満を持つ一族は、限りなく少ない。
下手に身分制度が狂って一族の存続が危ぶまれるよりも、確立された立ち位置を確保する方が一族は繁栄するからだ。
そして何よりも、身分制度を定め管理するヴァンパイア一族に、逆らってただで済むはずがないことは、トアの獣たちならば皆知っていた。
しかし先ほど述べたように、少ないとはつまり全くないわけでもなくて、今の位置よりも上に上にと望む一族もいる。
そしてその数少ないうちのひとつに、“虎一族”が入っていた。
愚かな行為に手を伸ばした一族の末路は、やはり酷いものだった。
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