メリーゴーランド

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「あれに乗ってみたら?」 そう言って岳ちゃんが、メリーゴーランドを指差した。 今日は僕と岳ちゃんの初めてのデートの日。バイト先のマクドで知り合った岳ちゃんに、僕が思い切って告白したのは1週間前。嫌われてはいないつもりだったけど、まさか両想いだったなんて思ってもいなくて、 「俺も誠人が好きだよ。」 って言われた時は膝の力が抜けてしまって、岳ちゃんが手を伸ばして僕を支えてくれなかったら床に座り込んでしまうところだった。 その時ほんの少しだけ触れた岳ちゃんの胸の温かさをまだ覚えてる。 だけどその後、バイト先でも笑顔で挨拶をしたり、ちょっとお喋りしたりする以外は特に何の進展もなくて、岳ちゃんは僕の「好き」の意味が分かってないんじゃないかなって不安になってた。そしたら昨日、岳ちゃんが僕を遊園地に誘ってくれたんだ。 「明日、バイト休みだろ?俺も休みだから二人でどっか遊びに行こうか?」 どこに行きたいって聞かれて咄嗟に何も思いつかなった僕が、逆に岳ちゃんにどこに行きたいか聞いたら、遊園地って言われた。岳ちゃんは絶叫マシーン系が好きだったんだ。 僕は岳ちゃんの行きたい所ならどこでも大歓迎だったから、深く考えずに頷いたんだけど、自分がその手の乗り物苦手ってことを忘れてた。子供の頃、ディズニーランドでスペース・マウンテンとかに乗って、降りた後フラフラしてたのを、岳ちゃんと来た遊園地でツィスターに乗った途端に思い出した。
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