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「いい子なのは否定しませんけど、いい子『すぎる』んですよねぇ」
身体を反らすようにソファに背中を預けながら、困ったような声で修平は答える。
確かに、かえではいい子『すぎる』。
それは先刻の待ち合わせの時、ナンパ男を振り払えなかったことからも分かる。
強い言葉で相手を否定することが出来ない性格なのだ。
かえでは恋愛沙汰が絡まなければ基本的に誰かを否定するようなことは言わない。
『かっこいい病』も困りものだが、『肯定している』と思えばそこまでタチの悪い癖でもないかもしれない。
「何も知らないっつーか世間知らずっつーか……見てて危なっかしいんですよ」
「そのためにシュウくんが彼氏として側に居ればいいんじゃないの?」
「……ジンさんまで言いますか、それを」
耳タコだろう。
散々修平にくっついていたかえでを『面倒見てやれ』と言われるのは。
……ナンパの件については、言わないほうがいいだろう。
確かにかえで達だけでは振り払えなかったが、修平に責任はない。
そこに、修平ともかえでとも初対面の菊池が締めくくった。
「ま、色恋沙汰は相談されたならまだしも外野から首突っ込む方が野暮だよ。人それぞれなんだからさ。明らかに様子おかしかったりしたら声かけてもいいと思うけど、そういうんじゃないんでしょ?」
……全く、その通りである。
実は菊池はその『明らかに様子がおかしい』ためにジン達に首を突っ込まれたのは、また別の話。
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