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まず『良い人そう』。
それからもうひとつ。
那賀は、なんとなく部活の先輩と雰囲気が似ている。
その人は寡黙で人付き合いベタだったけれど、スポーツマンでありながら読書好きという理知的な面も持ち、髪型も服装もさっぱりとして清潔感があった。
この転校生からも、なんとなくそんな理知的なスポーツマンらしい雰囲気を感じる。
きっとなにかスポーツをやっているのだ。
そういう人達の持つ独特の度胸のようなものが、薄らと滲んで見える気がする。
この学校は、全校生徒に部活への入部を『課して』おり、その結果か強豪と呼べるレベルに達している部活も多い。
そのため、部活目当てで入学する生徒も少なくなかった。
だからきっと彼もそうなのであろうと安土が推測するのも、なんら不思議なことではない。
黛から空席を指さされ、転校生はそこに腰を降ろす。
早速左隣の席に座っていた男子生徒が声をかけるが、黛がストップをかけた。
「それは後でな。ちょっと待て。……そういうわけで仲良くやってくれ。まあお前らなら大丈夫だろうと思うけど。俺の期待と信頼を裏切ったらそれなりのお仕置きは覚悟しとけ」
「とか言って先生いつも言うだけじゃないですかー」
「ほんとにお仕置きするのは成績悪い人だけでしょー?」
「しかもそれもじっくりこっくり丁寧補習で実質ご褒美だしー」
「……ンじゃちょっと早いがこれでシメ。二限は外に移動。那賀と喋りてェ奴は好きにしろ。ただし遅刻した奴は覚悟しろ。二年は去年と場所違うから気を付けろよ」
どやしてきた三人の生徒の発言はさっぱりと無視して、黛はHRの終わりを告げるのだった。
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