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「それから、その……差し支えなければ色々話してほしいな。きっと相談に乗れるし、力にもなれる。オレ『達』、が……」
そこまで言って、安土はどきりとする。
有り体に言えば慌てた。
無意識のうちに、部員のみんなを一緒くたにしてしまっていたことに気付いたからだ。
――自分がこんなことを勝手に決めてはならないのに、みんなが那賀に協力することを勝手に決めてしまっている。
ああどうしよう。
オレひとりでも、力になれるだろうか、いや自信がない。
もとからみんなの協力をアテにしていたうえに、それがあって当然のように振舞ってしまった。
もし協力が得られなかった場合責任を取れもしないのに取れるような物言いをしてしまった。
二つもとんでもないことを言ってしまった――
そこまで至って頭を抱える。
自分の内側で思考回路が絡まり一人で悶々とする安土を尻目にして涼子はため息をつき、那賀は怪訝そうに首を傾げた。
彼女には安土の言いたいことが伝わっていたし、彼がもし願うならみんな協力を惜しまないだろうとも思っている。
仮にみんなが非協力的だったとしたって、自分だけは彼の味方になるつもりでいた。
ところが目の前にいる彼に、自分を頼ろうという選択肢はなさそうだ。
こんなに傍にいる私のことをまだ信頼してはくれないのか、と悲しくすらなった。
――社交辞令とはいえ、私も手伝うってさっき言ったばかりだし、それが現実となって結局こうして一緒にいるのに。
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