思いでの墓標

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  部活推薦で入学するほど部活熱心だった人が、なぜ、二年生という部活の主軸になるような学年に入ってからそれをやめてしまったのか? なにかただならぬ事情があるに違いなかった。 それは彼を以前の学校から追いやるだけでなく、枷として絡みついて今も苦しめている。 「那賀君がいられるところ、探そう。一緒に」 強く、はっきりと、そして熱のこもった声で安土は告げた。 蒼い双眸は揺らがない。 麻衣からの提案であるという後押しを受けて、もう不安や卑屈さはちらつく影もなかった。 ただ目の前の那賀をなんとかしてやりたいという意思を正しいものと信じ、それが確かな自信という足を得て立ち上がっている。 華奢で頼りない、左右色違いの瞳を持つ少年の強く燃えたような善意に煽られて、那賀もほんの少しだけ頷いた。 「……もしもん時は、そうさせてもらう」 ばつが悪そうにそれだけを呟くと、がりがりと頭を掻く。 安土達には具体的なことが分からない以上具体的な助言も協力もできなかったが、彼にとっては充分すぎるほど暖かかった。 適温を超えて、居心地の悪さを感じてしまうほどに。 そんな二人の様子を見て、よし、と麻衣は朗らかな声で手を叩くと、三人へ時計を示しながら解散を促した。 「……結局、どういう部活なん?」 部室棟の階段を下りながら、那賀がぽつりと質問する。 人気がなく灯りも点けられていないせいかどこかひんやりとした空気に、声は響いて溶けた。  
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