思いでの墓標

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  「……コンビニ? あー、そういうこと」 裏門で合流した麻衣に、那賀がいない理由を伝える。 彼女はすぐにことを理解したようで、納得した口調だった。 というのも、那賀が逃げるのに持ち出したコンビニはこのすぐ近くには無い。 学校から最も近いコンビニでも、徒歩なら五分程度の時間を要するし、そもそも転校したばかりの那賀がこのあたりの地理に詳しいとは思えなかった。 彼がどこに一人暮らしの居を構えているのかは知らなかったが、それならばそこそこ近くに大きめのスーパーがある。 コンビニだなんて割高なところで調達するより、スーパーのほうが経済的には優しい。 本当に寄りたかったのならそちらの名を告げるほうが、一人暮らしの高校生としては自然なはずだ。 つっけんどんに告げられた所在不明のコンビニという単語だけで、那賀がいかに中途半端に拒絶しようとしていたのかが透けて見える気すらした。 そこまで計算したものでなかったとしても、適当な言い訳を探してでも離れようとしたように思えてしまう。 いっそなにも言わないでいてくれたほうが、嫌われている自信も持てるのに、と安土は肩を落とした。 とにかく那賀は中途半端でわからない。 「それじゃ、私だけ嫌われちゃったかな」 麻衣は苦笑する。 さして傷付いたふうでもなく、ただ、あるがままの今がほんの少しだけ残念だとでもいうような苦笑だった。  
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