思いでの墓標

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  美緒は安心しきった表情で、深い眠りに意識を落としている。 俊介と一緒にいたくせに、何故この人は一人で爆睡しているんだと、安土は顔を顰めた。 美緒の部屋のベッドに彼女の身体を横たえてやると、俊介は肩をほぐすように腕を回しながら小声で答える。 「ご覧のとーり、酔い潰れた。久々に二人で飲んだから、まあしゃーないかな」 「……あー……そうでしたね、そういえば」 未成年である安土には実際のところどうなのかよく分からないが、この二人のアルコール耐性には差があるらしい。 美緒曰く、俊介が強すぎる。 俊介曰く、美緒が弱すぎる。 どちらが正しいのかどちらも正しいのか、とにかく同じ足並みでは先に美緒が潰れることとなる。 「分かってるんだったら、考えて飲めばいいのに……すいません、美緒さんがいつも」 姉のかけた迷惑は、身内である自分の迷惑に等しい。 押し殺したような声で謝罪する安土に、俊介は俯いて口元を押さえながら肩を震わせた。 以前の安土同様長い前髪で顔の左側を隠すような髪型にしている俊介の表情は隠れて見えなかったが、笑い声が漏れ聞こえたことで、安土は首を傾げる。 怒ってはいないらしい、というより彼が美緒に対して怒るところを見たことがない。 もしかしたら怒らないのかもしれない。 なんとなく目が行った左耳のピアスを数え、五つ目に視線が行ったところで俊介の顔が上げられた。  image=449959548.jpg
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