思いでの墓標

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  「昨日も放課後どっかに消えちゃったらしいよぉ? ユミ達が見物に行ったら、もういなかったって」 「そりゃ、オレ達といたからね」 見物とはなんだ、動物園じゃあるまいし。 あまりに乱暴で無配慮な表現に眉根を寄せつつ、安土は自らの知る範囲で謎に触れる。 瑠維もちくわ部の一員なのだから、彼女になら話しても問題はない。 「あ、そうなの? 今日は?」 「どうだろう、昨日かなり微妙だったから……」 「ふーん。んじゃルイ今日放課後こっち来るから。それまで『あれ』足止めしといて」 身勝手な指示だけを残し、瑠維はひらりと教室から出て行ってしまった。 昨日那賀が自分達と一緒にいた理由は気にしないのか、極めて軽い語調で。 瑠維は噂話を好むが、知りたいことを伝え聞くのはあまり好まない。 平たく言えば、のけ者にされると機嫌を悪くするのだ。 那賀がちくわ部と接触を持ったとわかれば、噂としてではなく自分自身の声で彼と話してみたいのだろう。 ちくわ部に関与した時点で、瑠維にとっての那賀は檻の向こうの動物ではなくなった。 怯えがちな自分や涼子より、瑠維をぶつけてみたほうが案外うまく行くかもしれないなと思いつつ、彼女のあまりにまっすぐな物言いに那賀が傷付けられやしないだろうかという恐れもある。 安土は複雑な気持ちたっぷりのため息を人知れず吐き出した。  
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