思いでの墓標

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  那賀はその絡め取る視線から逃れようとするかのように、わざとらしく視線を逸らして声を曇らせる。 「……別に。大した理由じゃないけど」 「はーいダウトー! 超ダウトー!」 満面の笑みを浮かべながら、瑠維はぱちぱちと拍手する。 思わず瑠維の顔に視線を戻して呆気にとられながら言葉を失った那賀をびしりと指差すと、どこか小馬鹿にしたような抑揚でこう続けた。 「あーのーねぇ、聞かれたくないなら聞かれたくないってはっきり言えばぁ?」 「……っ」 「めんどくさい人はめんどくさいって言えばいい。忙しいなら忙しいって言えばいい。そのどっちも言わないナガ君はもっともっと追いかけて『深いとこ』まで構ってほしいんだよね。違う?」 那賀は、逃げるにしては中途半端。 これは安土も感じていたことだ。 持って回った言い方をして、底を見せる気配もないくせに沼を覗かせる。 瑠維は早々にそれを見抜いている、このたった数分のやりとりで。 やっぱり彼女をぶつけて良かったのかもしれない、という期待がわずかに頭を掠めたが、それよりも瑠維が那賀の地雷原を爆走している可能性を思うと安心もできない。 とりあえず今は静観しつつ、危なそうなら止めに入ろう、と安土は守りの姿勢に入ることにした。 自分の他力本願さには反吐が出るが、自分一人でうまくやれる自信がないのも事実だ。 一度は勝手にあてにしてしまった『仲間』の力に、今は頼ることにする。  
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